ゴスペルとは? ~ゴスペルの成り立ちの歴史~
音楽のジャンルの一つに「ゴスペル」というものがあります。
ゴスペルといえば教会で歌われる宗教的な歌を思い浮かべるのではないでしょうか?
それもあっていますが、ゴスペルは様々な音楽ジャンルに影響を与えた役割がありました。
それではゴスペルとはどのような音楽ジャンルなのかを見ていきましょう。
もくじ
もくじ
ゴスペルの特徴
発祥はアフリカ系アメリカ人で、奴隷とされていた彼らはキリスト教の「福音」と呼ばれるゴスペルを歌うことで救いを求めてきていました。
ゴスペルはキリスト教が起源であるため聖書をベースにした人々を助けるような言葉や、人種差別、貧困などの社会問題に立ち向かう歌詞が出てきます。
これらが厳しい状況で生活していた人の心に刺さり音楽ジャンルとして発展していきます。
ちなみに ゴスペルの語源は諸説ありますが God's Spell(神の言葉)やGod spel(GodはGoodの古い言い方で 良い知らせ)という意味があるともいわれています。
使われる楽器
少し珍しいのですが、ゴスペルは楽器がなくても成り立つ音楽ジャンルの一つです。
というのも歴史を見ていけばわかるのですが、もともと楽器を持っていない人々が集まって歌っており、彼らは手拍子や足踏みでリズムを取っていたので楽器がなくても成立するのです。
ただし、楽器を使うとなればピアノやオルガンが一般的で、他にもサックスやトランペットといった楽器が使われます。
実はギターやドラムを使う曲もあるんですよ!
演奏人数
演奏人数に決まりはありませんが、合唱団やクワイヤ(聖歌隊)など大人数で歌うことが一般的です。
合唱団の規模は様々ですが、十人規模から数百人規模に及びます。
他のジャンルとの関わり
ゴスペルは様々な音楽ジャンルと関わりを持っています。例えばソウルやR&Bには思いを込めて歌い上げるというゴスペルの要素が取り入れられていますし、ジャズやロックが誕生したきっかけを遡っていくとゴスペルにたどり着きます。
ゴスペルの歴史
時代は遡ること「スピリチュアルズ」(黒人霊歌)の時代です。17世紀にアフリカ人を奴隷としてアメリカに連れていき、強制労働をさせていました。
奴隷には人権がなく、自由がなかったのですが、奴隷の主人が信仰や従順さを教えるために聖書を読ませたと言われています。
聖書の内容を理解してきた彼らは自由を求めて主人の目を盗んで仲間同士で集まり、そこで歌を歌ったり踊ったりしました。
それがゴスペルの起源とされ、奴隷解放宣言が発令されるまでの長い間このような環境が続いていたのです。
奴隷解放宣言が出た後、1886年に「Fisk School」という学校が建設されます。ここでスピリチュアルの合唱団が結成され、ゴスペルが歌われることで次第に注目されていきます。
さらに広めたのはゴスペルの父と呼ばれる 「Thomas A Dorsey」 で、彼が大量のゴスペルソングを作り、世に広めていくことになります。
そしてゴスペルはソウルやR&B、ジャズなど様々な音楽に影響を与えています。
ゴスペルの有名曲
ゴスペルの中でも有名曲を5つを紹介します。
Amazing Grace
なんといってもこの曲は外せないでしょう。
音楽の授業で聞いたことや演奏したことがあるかもしれません。もしかすると日本人にとっていちばん有名なゴスペルソングかもしれません。
Take My Hand, Precious Lord
ゴスペルの父と呼ばれたThomas Dorsey の曲です。
歌詞を調べていただければ分かる通り救済をテーマにしていることからゴスペルの特徴が出ています。
Gotta Serve Somebody
ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランが作曲した一曲です。
ドラムのリズムからロックやジャズの雰囲気を感じるゴスペルです。
I will Follow Him
ゴスペルといえば天使にラブソングを(1, 2)でしょう。
途中まではきれいな合唱曲ですが、1分40秒くらいから変わり、明るく歌う姿をみて、こちらまで楽しくなります。
Oh Happy Day / 天使にラブソングを2
こちらも天使にラブソングをからです。
まとめ
今回はゴスペルについて見ていきました。
- アフリカ系アメリカ人によって作られたブラックミュージックの一つ
- 楽器がなくてもボーカルだけで成り立つ
- ソウルやファンク、ジャズやロックまで幅広い音楽ジャンルに影響を与えた
これを機にゴスペルを聞いてみてはいかがでしょうか?