ファンクとは? ~ファンクと成り立ちの歴史~
音楽のジャンルの一つに「ファンク」というものがあります。
ファンクは日本ではあまり聞き馴染みがないのですが、1960年代に主にアメリカで流行ったジャンルで、踊れるようなノリの良い曲が多いのが特徴です。
それではファンクとはどのような音楽ジャンルなのかを見ていきましょう。
もくじ
もくじ
ファンクの特徴
ファンクはアフリカ系アメリカ人によって1960年頃から人気が出てきた音楽で、ソウルやR&B、ジャズを融合させた、踊りたくなるようなリズムが特徴なダンスミュージックです。
アフリカ系アメリカ人が作る音楽はブラックミュージックとも言われており、ブルースやジャズ、ソウルと同様にファンクもその一つです。
ファンクという言葉の意味は「憂鬱や落ち込み」といったネガティブな意味や「泥臭さ、強烈な体臭」といった意味がありますが、曲を聞いてみるとそのようなことはなく明るくノリの良い曲が多いです。
この踊りたくなる感情が大事で、コード進行やメロディーよりもリズムやグルーブを大事にしているのが一つの特徴です。
その頃はジャズなどに見られたアフタービート(2拍目と4拍目を強調する)が取り入れられていましたが、ファンクではダウンビート(1拍目を強調する)やシンコペーションが多く見られます。
使われる楽器
ファンクを演奏するときの楽器構成はドラム、ベース、エレキギターとボーカルに加えてサックスやトランペットが加わってきます。
16ビートを主体に同じリズムが繰り返される音楽で、休符でさえも16分で刻んでリズムをとります。
ちなみにこれをカッティングといいますよ
より大人数になるとコーラス隊やダンサーが参加して盛り上げることがあります。
演奏人数
5~7人で一つのバンドを組むことが多いです。
ただし先ほど説明した通りコーラス隊やバックダンサーがつくと10人以上になります。
曲の流れ
JPOPはイントロ → Aメロ→ Bメロ → サビ → ... のように続いていきますが、ファンクは同じようなリズムを繰り返していきながら一体感を作り上げていくので、特に展開が大きく、わかりやすく変わることはないです。
これはファンクの大きな特徴でしてコード進行やメロディーよりも踊れるようなノリの良い音楽を大事にしています。曲の雰囲気がコロコロと変わってしまうと手拍子が止まってしまうように、曲の流れを理解している人だけがノレるのではなく誰でも楽しめるのが良いですね。
ファンクの歴史
ファンクの歴史について簡単に見ていきましょう。
1964年に 「James Brown」(ジェームス・ブラウン)が「Out of Sight」を発表し、これがファンクの原型となり、そこから1970年代に確立していきました。
まだ人種差別が残っていた時代ですが、ファンクという新しいジャンルに惹かれて、白人と黒人がバンドを組み始めたことにより、どちらの人種にも受け入れられてきました。
徐々にファンクが浸透してきたところで、Parliament(パーラメント)とFunkadelic(ファンカデリック)というバンドによってされに広まっていきます。そして1970年代からはこの後紹介するSLY & THE FAMILY STONEやGraham Central Stationといったグループが注目を浴びることで全盛期を迎えます。
この後はジャズファンクやシンセファンクといったジャンルが出てきたりして続いてはいましたが、1980年代から徐々に衰退していきます。
ファンクの有名曲
ファンクの中でも有名な5曲を紹介します。
DANCE TO THE MUSIC(1969年)
1970年前後に活躍した Sly & The Family Stone(スライ&ザ・ファミリー・ストーン)は、白人と黒人、更には男女混合という当時にしては珍しいバンドでした。
1863年に奴隷解放宣言が発布とはいえ、当時は人種差別がまだ残っているなかで、人種や性別関係なく演奏する姿に注目を浴びて人気を得ていました。
ベースのカッティングやハイハットの跳ねるリズムから、思わず手拍子を叩きたくなったり、タイトルの「Dance to the Music」の通り踊りたくなる曲を紹介します。
SLY & THE FAMILY STONE - DANCE TO THE MUSIC.LIVE TV PERFORMANCE 1969
I WANT YOU BACK(1969年)
タンバリンが心地よいリズムを刻んで乗りやすい曲です。
この曲のメインボーカルは当時10歳の Michael Jackson(マイケル・ジャクソン)です。
ちなみにジャクソン5はジャクソン兄弟によって結成された史上最大の兄弟グループとも呼ばれており、初めて白人から人気を集められた黒人のグループでもあります。
The Jackson 5 "I Want You Back" on The Ed Sullivan Show
Sex Machine(1970年)
ジェームス・ブラウン(James Brown)は、ファンクで最も有名と言われる人物で、ファンクというジャンルを作り上げた人物て言っても過言ではありません。
日本で有名なのが「ゲロッパ」(Get up や Get on up が日本人にはそう聞こえる)を連呼する「Sex Machine」を聞いてみてください。
楽器隊はファンクの特徴通りあまり変化はなく、ボーカルの表現力によって曲を盛り上げられるかが決まっています。
シャウトや息の使い方、音の強弱によって曲ができていると言っても過言ではないです。
James Brown - Sex Machine - Live - 1981 • World of Jazz
Release Yourself!!(1974年)
力強いサウンドと 三拍子で歌われる "Release yourself!" の語呂の良さがクセになる曲です。
間奏部分はベースのカッティングが目立つので歌詞がない部分でもリズム感が途切れることなく流れていきます。
Graham Central Station - Release Yourself!!
September(1978年)
曲名を知らない人でも、サビを聞けば聞いたことがある!と思うかもしれません。
ファンクというよりR&Bやディスコのような雰囲気ですが、"Ba-dee-ya dee-ya dee-ya" のリズムやトランペット部隊のサウンドがファンキーらしさを出しています。
Earth, Wind & Fire - September (Official HD Video)
まとめ
今回はファンクについて見ていきました。
- アフリカ系アメリカ人によってできたブラックミュージックのひとつ
- メロディーやコードよりも踊りたくなるようなダウンビートが特徴
- 一曲を通して雰囲気はあまり変わらないのでボーカルの表現力が聞きどころ
知らない曲でも頭を振ってリズムを取りたくなる曲が多いのでぜひ聞いてみてください!